グリーンインフラストラクチャ―(Green Infrastructure)とは、自然に備わっている防災・水質浄化などの力を利用し、施設整備や土地利用を進める手法のことをいいます。
従来インフラの補足や代替として、建物屋上の緑化や河川の多目的利用などを環境に配慮した社会基盤整備に用いることで、地域の活性化や低コストのインフラ維持と管理、防災・減災効果などを得ることが可能になります。
海外ではグリーンインフラを実践している地域がいくつもあり、その中でもシンガポールはグリーンインフラの先進国です。
東南アジアの中心に位置する63の島から成るシンガポールでは、40%を隣国マレーシアから水を確保してきたものの、現在国を挙げて水問題の解決に取り組んでいます。
画期的な「ABC Water Design Guidelines」(ABC-WDG)はシンガポール国土全体を対象とした水の戦略で、戦略の核となっているのがグリーンインフラの適用です。
ABC-WDGはシンガポール全域を対象とし、2030年までに約100のグリーンインフラ・プロジェクトを指定しています。
その中でも最大のプロジェクトが、全長3kmあるコンクリート三面張りの排水路カラン川を自然型の河川に再生し、公園と一体的に多機能型の都市型河川公園として再整備したビシャン・パークです。
川幅を最大100mまで拡幅したことで従来の機能を超え、多くの市民が水や自然と親しむことができる場となっています。
シンガポールの取り組みは、国単位でグリーンインフラを推進するための一つの成功事例です。
世界中で気候変動による災害の発生が予想されている今、多くの人々が居住している都市部ではグリーンインフラを都市規模でどのように展開するか、真剣に考える時期に来ています。
参照:
水問題にグリーンインフラ活用、先進国シンガポール|日経コンストラクション
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/atcl/cntnews/15/00699/
グリーンインフラとは? | 鹿島建設株式会社
http://www.kajima.co.jp/tech/green_infra/about/index.html